【初心者向け】初心者は何から始めるべきか(後編)

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はじめに

前回に引き続き「株式投資の初心者は何から始めるべきか?」ということのテーマの後半を書いていこうと思います。

前回は一言で言うと「株の損益とは何か?」でしたが、肝心の儲けにつながる話をしていませんでした。今回はそちらの話、言ってみれば「盾と矛」のうち矛=攻撃側になります。前回の内容である盾=防御側を疎かにすると儲かる前に死んでしまいますので、いきなりこのページに辿り着いた初心者の方はこちらの前編を読んでからのほうが良いです。

決算に慣れる

17世紀の株式会社の成り立ちと発展からも明らかなように、その会社の株を買う理由の基本は「会社がどれだけ儲けているか」です。つまり決算を避けては通れません。多くの人が決算にアレルギーを持つことに付け込んで「〇〇式チャート投資法」とか「〇〇式10倍株発掘法」みたいなものを売りつけようとする悪いおじさんがこの業界にはいっぱいいるので気を付けましょう。そうやって初心者の皆さんはお金を失っていきます。

実はテクニカル投資家も決算報告書を必死に読んでいる

チャートを見て売買すると主張する投資家でも、決算の数字は気にしています。というより実務的には為替や決算やその他のニュースを常にチェックして、そのうえでエントリーする銘柄を決めてチャートで売買しています。むしろ彼らはたいてい短期売買なので少しでも勝てる銘柄がないか必死に毎日毎日決算を読み漁っています。

もし仮にチャートだけで売買して利益が出るならば、AIなんてものを持ち出さずとも初歩的なコンピュータシステムで「〇〇式チャート投資法」を稼働させて世界中の上場企業全銘柄を自動売買するだけで無限にお金が増えてしまいます。現実にそうなっていない以上は、株で利益を出すためにはチャート外の情報は必須で、その筆頭が決算です。

数学的にもチャート自体に利益につながる情報は含まれないと証明されています。こちらwikipediaの「効率的市場仮説」を参照してください。まだ記事は執筆していませんが、私も追試研究を行ってこの理論の正しさを信号処理のアプローチで確認しました。

とは言えチャートも必要な情報のうちの一つ

しかしながら、稀に「チャートは見てはいけない」という極論を言う人がいますが、それはそれで誤りで、かのウォーレンバフェット様も「チャートは普通に見る」と著書で述べているそうです。

チャートには企業の歩みや市場参加者の様々な思惑が含まれていますので、その情報を使わないのもダメです。私も買う銘柄を選定するとき必ずチャートは確認します。しかしそれは「〇〇のサインが出ているかどうか」とか「MACDの値が~」とかではなく、業績と乖離した妙な動きをしていないかを定性的に確認します。

明らかに変なグラフを描いていて、過去のIRを確認したらTOBに失敗している事実が明らかになっていたり、数年前からずっと利益が増えているのに年初から急に株価が下降を続けていたり、そういう妙な気配を感じる銘柄を私は避けます。理解の範囲を超えている動きをする銘柄は、予想通りに株価が上がることはないからです。

まずは株式情報サイトの決算情報まとめを見る

決算を見る、というといきなり「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」をイメージしてしまいますが、そこまで突っ込んでいく必要はありません。それを読んで全く内容が理解ができない、というとそれまた別の問題がありますが少なくとも初心者は、というか本業を別に持っているような人は細かい数字を一つ一つ把握する必要はありません。株式投資はあくまで副業であって、株の売買益よりも本業に力を入れる方が優先です。

具体的には株式情報サイトの決算情報のまとめだけで十分です。いきなり全部読もうとしても絶対に続きません。

下のスクリーンショットは株探ですが、チャートを見たくなる欲求を一旦抑えて「決算」タブを開いてください。すると過去4年分の売上と利益の推移、そして自社発表の今期業績予測が表になっています。

これを見るとその会社が儲かっている会社なのかどうか、利益が伸びている会社なのか、それらは今の株価にどう反映されているのか(右上のPER/PBR/配当利回りを参照)というのが一目でわかります。慣れるまではこれで十分で、これを見て買うべきかどうか判断するだけで負ける確率は一気に減るはずです。

もちろん儲かっている会社だから株価が上がるかというと、そうならないところが株の難しいところですが、少なくとも明確な根拠をもって売買できるようになります。

次のステップは四半期決算

慣れてくると1年前の決算情報だけでは物足りなくなってくるでしょう。そうしたら四半期決算情報に手を出します。株探であれば「決算」タブの下の方に3か月ごとの四半期決算のまとめが載っています。最初はあまりの数字の量に圧倒されますが、慣れてくるとこれくらいでも「株を買うのに最低限必要な情報」と思えてくるようになります。私も株を買うとき最低限ここまでは見ています。

投資のスタンスにもよりますが、四半期決算を意識できるかどうかが初心者とそれ以外の分水嶺です。というのもこれらの情報が全て載っているのが、かの有名な「会社四季報」であり、今でこそ紙の四季報を読む人はほとんどいないでしょうが四季報の記載情報を全て見て投資判断しているならば、それはどう考えても初心者のレベルではありません。

アルパカ先生
アルパカ先生

株式投資の勉強会に行くと、令和の今でも紙の四季報が付箋とマーカーで真っ赤になっている人を何人も見ます。その人はたぶん儲かっています。

「あれ?」と思ったらIRを参照

決算まとめを読むことをしばらく続けていると、「なんだこれは?」という数字を見つけることがあります。例えば同業他社に比べて営業利益率が異常に高いとか、営業利益の何倍もの経常利益が出ているとか、そういう違和感に気付けるようになったらいよいよ脱初心者の段階で、気になるその銘柄のIRを読みに行きましょう。

その企業のIRページで決算情報のPDFを入手して、中を読んでみましょう。「入手」と言うと大変そうに聞こえますが「(銘柄名) IR」と検索するとその企業のIRページが大抵は検索結果の一番上に出てきますので簡単に閲覧できます。上で書いたような決算数値を読む訓練を積んでいれば、かつての様な拒絶感は覚えないはずです。とはいえページがあまりに多いので、今であればAIに一旦そのPDFを渡して疑問点をAIに聞いてみるとよいでしょう。各社の生成AIサービスは上場企業のIRのような公式情報を質の良い教育データとして全て学習していますので、高い精度で決算情報を分析してくれます。

アルパカ先生
アルパカ先生

株式投資はお金を増やすゲームではなく、PK(PleyerKill=オンラインゲームで他のプレイヤーを殺す)されずに自身の能力と経験値を増やしていくゲームです。決算情報は武器であり防具です。

損失に慣れる

相場にいる限り、損失は必ず訪れます。逃げられません。ここでどう動くかが初心者とそれ以外の分かれ目です。

どんな天才投資家でも持ち株は当然値下がりする

バフェット様でさえ、買った直後に株が下がることは普通にあります。初心者が動揺する必要はありません。プロの個人投資家も損失の取引など日常茶飯事ですし、売買トータルで利益が出ている私でも個別に見れば損失となった取引が無数にあるのは「売買記録」を見ていただければわかると思います。

下がった時にどう行動するか。それで損を広げないための判断こそ、脱初心者の第一歩です。

市場全体の動きと比較する

前回紹介した儲けと損の定義を思い出してください。市場全体に対して相対的」に上がったか下がったか、という判断基準です。

保有銘柄が下がった理由が単に市場全体で売りが増えただけならば、自分の持ち株も値下がりするのは当然で、あなたが資産規模1兆円の国際ファンドでもない限りは到底抗えません。この場合は確かに数字の上では損失ですが、負けているわけではないので放っておけばよいでしょう。市場全体が上がったときには合わせて値上がりしてくれるはずです。

その反対に市場全体、例に挙げるとTOPIXは上昇し続けているのに、自分の株だけが値下がりしている、という状況であれば、銘柄選定が間違っていたということになるので、何か手を打たなければいけません。

ここで絶対にやってはいけないのは「ただ値を戻すことを信じて待つ」という行為です。絵に描いたような塩漬け株の完成です。こういう人はもれなく市場から消えていきます。

「TOPIX比〇〇%の相対下落で単純に機械的に損切り」というのも定番の打ち手です。それ以外の明確な根拠をもって立ち回るのも重要な戦略ですが、初心者が独自の手法を目指すのはまず機械的な損切りができてからです。

逆指値を使って「単純に1割値下がりで損切り」というのは初心者にはわかりやすい基準で、逆指値で自動化されているので塩漬けされず一見クレバーですが、相場下落時に銘柄選定と関係なく全部の持ち株を売ることになるので、脱初心者を目指す人にはあんまりお勧めできません。本当の最初のうちはいいかもしれませんが、損切りに躊躇いがなくなったら定額損切りは卒業しましょう。

利益に慣れる

利益に慣れるとはどういうことか?人間は一度含み益を手にすると「この利益を失いたくない」という恐れを感じ始めます。そうしてその恐怖に耐えきれず売ってしまいます。これは人間の脳の進化の仕組み上、抗うことができない欲求です。メカニズムとしては損切りできないことと似ています

しかし、買った株が上がっているということは

「多くの人があなたと同様にその株が値上がりすると信じて次々と買っている」

ということですので、それを売ってしまうのはもったいないです。せっかく良い銘柄を当てることに成功したのですから、すぐに売らずに持ち続けましょう。「すぐ売りたくなるのは人間特有の恐怖心によるものだ」と理解しておくだけで、この衝動はかなり抑えられます。儲けと恐怖は一見すると正反対にあるので気付きにくいですが、それが真実です。とはいえ、実際に儲かっているのですから、損切りよりはまだ行動変容が容易なはずです。

どこかで売り時を判断する必要がありますが、トレーリングストップやRCIなど様々な手法があるので自分の気持ちと運用と相性が良いものを探しましょう。やや過激ですが長期の資産形成のためなら「含み益の銘柄は絶対売らない」というのも悪くない打ち手です。

アルパカ先生
アルパカ先生

証券会社のマイページで保有銘柄リストがプラスで埋め尽くされる様子はなかなか壮観ですよ。

実際の売買で場数を踏む

基本的な動きが理解出来たら、あとは繰り返して体で覚えていくだけです。とにかく株式投資のいろいろなノウハウは人間の脳の基本的な仕組みと相容れない部分が多く、訓練無しでは身に付けることができません。

証券各社はシミュレーション取引を用意していますが、シミュレーション取引では繰り返し述べている「人間の脳の仕組み」を克服する訓練に全く寄与しないので、実際に自分のお金で売買する必要があります。

今更ここまで読んでおきながらなお「そういう面倒臭いことしないで儲けたい」と言う人はいないと思いますが、「面倒臭がりの欲張り初心者に変な商品を売りつけて儲けを出す」というのも株式市場で利益を出す定番の方法だ、とここで述べるにとどめておきます。このおじさんの絵をもう一回置いておきます。

アルパカ先生
アルパカ先生

ChatGPTに初心者が株で損するメカニズムを相談したら「株式投資とは人間の脳というバグだらけのOSで上手にシステムを動かす競技だ」とのお言葉をいただきました。

「10銘柄買ってみて一か月後に一旦全部売る」のも有効なトレーニング法

上でも述べましたが、人間の心理構造的に損切りはなかなか壁が高く、同様にちょっと値上がりしただけ怖くなって売ってしまいます。

「いつか株価が戻るまで待つ」と言って塩漬け株を持っている人にこう聞いてみてください。ぐうの音も出ないでしょう。

  • いつか~ → それって具体的にいつ?答えられる?
  • 株価が戻るまで~ → それって株価が〇〇円まで上昇することだけどその理論株価の根拠は何?計算式出せる?
  • 待つ → 待ってる間にそのお金で高配当投信とかオルカン買っていたほうがよくない?

上記のように継続保有に全く合理性は無いのですが、それでも持ち続けてしまう。だって人間だもの。

要するに「株で損をすること」に慣れていないのです。そこで一つ効果的な訓練方法を提案します。

  • 上がると思う銘柄を10銘柄買う
  • 1か月間は何があっても絶対に売らない(証券会社のページにログインしないのも一つの手)
  • きっちり1か月後に成行で全部売る(もし日付決め打ちで売却予約ができるなら事前に予約して

「10銘柄を買うほどの資金が無いよ」という人も少なくないと思いますが、今ならミニ株が使えますので、例えば100万円を10万円ずつ分配して10銘柄買ってください。

この訓練方法の素晴らしいところは、利確と損切りの両方の訓練ができることにあります。10銘柄もあれば必ず値上がりした銘柄と値下がりした銘柄があります。

値上がりしてもすぐに売らずにしばらく待ってから利確する、値下がりしたなら値が戻るのを待たずに必ず損切りする、ということをルール的に強制するのです。儲かっている株もあるはずですから、その儲けで損失をある程度埋められますので心理的な壁は大きく減少するでしょう。

こうやって何度か「損をする経験」積むことで、株価が下がってもそれはもう確定した現実の損として受け入れて、そこから冷静に判断して行動できるようになります。値上がりした株はどうして値上がりしたか、では値下がりした株は?などを後からチャートやIRを見て考えてください

この訓練は1ターン1か月で終わりますので、1年間12ターンこなす頃には相場全体の上昇と下降と、その中での120銘柄の分析と売買を経験していることになります。ここまでくればもう立派な個人投資家です。誰からも初心者とは思われないでしょう。

無理そうならば積立投資信託に転進しなさい

ここまで読んで「自分には無理だ」と思うなら個別株はあきらめてください。難しいことは何一つないのですが、すべからく人間の脳の仕組みに反するため、実際にやれる人はそれほど多くないと思います。

プロに任せてパッシブ運用の投資信託を買いましょう。パッシブ投信は市場参加者の平均的な成績と同一ですので、勝ちもしませんが少なくとも負けはありません。市場成長そのものがあなたの利益です。通常、給与所得者の資産運用は継続的な追加入金が前提になりますので、いわゆる積立投信の運用になり、ドルコスト平均法のメリットとして広く知られています。

パッシブ運用ですので下がったからと言って慌てて売ってはいけません。下がってもそれは損失ではありません。世間では「オルカン一択だ」と流行ったと思えば「日本株の実力に世界が気付きだした」とか皆が言い始めたり、パッシブ運用と言いながらコロコロ転売させるような玉石混在の情報があふれていますので、よく勉強してください。パッシブ投信と言えど売買を繰り返したらそれは個別株と同じアクティブ運用であり、個別株で損をした実績のあるあなたがそれをやると、投資信託でも再び損をすることになってしまいます。

GPIF運用法

老後資金のための超長期での運用ならばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の4資産分散投資法をコピーするのが妥当性があると思います。日本で最も頭のいい人たちに分類される集団が自分たちのために考えた方法ですので、少なくとも【ハズレ】ではないでしょう。

具体的な方法はネットにいくらでも転がっているのでそちらを参照していただきたいのですが、投信を4つ買うだけですので簡単ですし、半分が債券なので急激な値動きもありません。GPIF同様に定期的にリバランスすることを忘れないでください。

株は余裕資金で、の意味

株を諦めて辞めるときの理想は、含み損の銘柄をきれいさっぱり全て売って、投資信託に切り替えることですが、含み損の株を売れないからこそ株で儲からないので、現実的なアドバイスではないでしょう。つまり誤って手を出してしまった個別株投資の資金は実質すべて塩漬け株に拘束されて失われてしまいます。私は「株式投資にいきなり大金を入れてはいけない」という格言の意味はこういう事かな、と考えています。失敗したときに資金全てが引き出せずに拘束されてしまうからです。

アルパカ先生
アルパカ先生

株のお金は一方通行です。

脱初心者のまとめ

この記事で述べたようなスキルを積むことが脱初心者のルートであり、株で儲けるための必要事項です。

  • 銘柄選定
  • 利確と損切り
  • 結果の分析

いきなりゴールを見ると途方もない道のりですが、少しづつ順番に訓練していくことで身に付けることができます。「株は長期投資が基本」というのは「時間をかけて自身の株投資スキルを延ばしていこう」ということも意味しています。

皆さま薄々感じていることだと思いますが、株式投資は不労所得でもなんでもなく、知的生産活動であり、明確に労働です。そのため私は自身を「副業投資家」と呼んでいます。副業ですので、儲かるようになるまで時間がかかりますし、努力も必要です。

本ブログは私の投資結果および研究成果を記録するものであり、特定の投資商品や銘柄を推奨するものではありません。

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